研究データ管理(Research Data Management: RDM)の先行事例を調査するため,2013年8月6日に英国のデジタルキュレーションセンター(DCC)を訪問しました。Dr. WhyteがRDMの理解と実践のために有用な資料をピックアップして下さったので,第一報としてご紹介します。インタビューの成果は,エディンバラ大学,グラスゴー大学での調査結果とあわせて発表する予定です。【追記:2013/10/25に発表しました「英国における研究データ管理支援の動向」】
RDM関連文献
- How to Develop Research Data Management Services – a guide for HEIs
高等教育機関が研究データ管理サービスを計画し,実施する際の目的や問題点を示す包括的なガイドです。 - Liz Lyon. The Informatics Transform: Re-Engineering Libraries for the Data Decade. International Journal of Digital Curation. 2012, Vol. 7, No. 1, p.126-138.
研究のライフサイクルの各フェーズを支援する図書館サービスとして,研究データ管理の(1)要件,(2)計画,(3)メタデータやデータ形式といった情報技術,(4)検索・引用・再利用のための識別子の付与,(5)研修,(6)ライセンシング,(7)データ選択のための評価,(8)ストレージの提供,(9)アクセス,(10)インパクトの測定と最大化について解説しています。 - Sarah Jones, Graham Pryor and Angus Whyte. Developing Research Data Management Capability: the View from a National Support Service. Proceedings of iPRES 2012, Toronto, Ca. October 1-5, 2012, p.142-149. [PDF本文]
DCCによる研究データ管理支援活動の紹介で,(1)研究データ管理ポリシー,(2)ロードマップと戦略開発,(3)データ管理計画,(4)研究データストレージの管理,(5)ガイダンスと研修について,具体的に解説しています。特に工学・物理科学研究会議(Engineering and Physical Sciences Research Council: EPSRC)の研究データポリシーは重要であるとして,繰り返し言及されています。[EPSRC Policy Framework on Research Data] - How to Cite Datasets and Link to Publications
データセットの引用と出版物へのリンクについてのガイドです。
DCCのリソース
DCCは,多くの研究成果やプロジェクト,事例などをサイトで公開しています。また,研究データ管理を実施するための研修は,英国内外の機関が導入しています(たとえば,南アフリカ図書館情報協会もWebinarを開催したそうです)。
- Disciplinary Metadata
分野別メタデータのディレクトリです。インタビューの際に「メタデータの標準化はハードルが高い」と話したところ「既存のものを使っては?」とご紹介いただきました。
- DCC Curation Lifecycle Model
データキュレーションを説明する際に,いつも使わせていただいている概念図です。
Special thanks to:
- DCC: Mr. Kevin Ashley, Mr. Jonathan Rans and Dr. Angus Whyte
- Univ. of Edinburgh: Mr. Stuart Lewis (Head of Digital Library)
- Univ. of Glasgow: Ms. Joy Davidson
- and Ms. Florance Kennedy (DCC)
他国の大学院生からの申し出に,熱心に,丁寧に,そしてフレンドリーに対応して下さいました。心よりお礼申し上げます。
また,エディンバラ大学およびDCCへの訪問調査は,筑波大学の研究交流(派遣)助成を受けて実施しました。この場を借りて深くお礼申し上げます。