Mark Hahnel (figshare) リユースファクター | 文献紹介

第3回SPARC Japanセミナー2013で,自らをミスター・オープンオープンオープンと称していたMark Hahnel氏の記事を紹介します。引用文献のみならず,論文に用いられたデータやコードを公開し,検索可能な形で参考文献リストに掲載することによって,その再利用のインパクトを測る「リユースファクター」を提唱しています。

Hahnel, Mark. The reuse factor. Nature. 16 October 2013, Vol. 502, Issue 7471, p.298. doi:10.1038/502298a

英米の研究者達は,助成申請に研究データの管理計画が必要です。データの作成方法,そしてデータ共有と保存の計画について詳述しなければなりません。NSFやNIH,NASA,MRC,Wellcome Trust等は,研究成果(データ)を利用・引用・発見可能にするよう求めています。

分野によってはDryadGenBankといったリポジトリでデータを共有する研究者も増えていますが,まだまだデータ公開の方法は確立されていません。このような状況で2011年に設立したfigshareは,データを再利用可能,再現可能かつインタラクティブに集積しようとしています。そしてデータの引用と管理のための2つの重要な取り組みが紹介されています。


FORCE11

FORCE11

The Amsterdam Manifesto on Data Citation Principles
研究者,図書館員,アーキビスト,出版社,助成機関のコミュニティであるFORCE11は2011年に「データ引用の原則に関するアムステルダム・マニフェスト」を策定しました。8項目のうちの4番目で,”データ引用は文献の引用と同様に行い,参考文献リストに記載すべきだ”としています。しかし,実施しているのはわずか1/5で,残りはmethodやdepositionセクションに書かれているそうです。


研究データ同盟

RDA: Research Data Alliance

Research Data Alliance: RDA
2012年8月,さまざまな分野の研究データの共有と交換を推進するために,米国,欧州,オーストラリアの助成によって研究データ同盟が設立されました。そして複雑な助成機関の要請や多様で従来とは異なる研究成果(データ等)の引用に対応しようとしています。

*参考:研究データ同盟に関するカレントアウェアネスの記事


既にF1000 ResearchやPLoSのジャーナルで実践されているように,全ての出版社は倫理的な問題がなければ研究のすべてを公開するよう義務付けるべきだとしています。また,データやコード,動画など,すべての研究成果を検索可能な形で参考文献リストに公開するべきだとも。その上で,紙の論文の引用だけでインパクトを測る時代の終わりは近い,これからは「リユースファクター」の時代だと締めくくっています。

 

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