日本の公共図書館における電子書籍サービス

『ビジネスジャーナル』に「電子図書館がたった12館…遅れる日本の電子書籍サービス」という記事が掲載されていました。12館，パッと思い浮かばなかったので検索ついでにサービス状況をチェックしてみました。[2013/5/1追加，合計13館。今後はE-books & Librariesのページに追記していきます]

「電子図書館」というと，資料を電子化して公開する「デジタルアーカイブ」のイメージもありますが，ここでは「電子書籍の貸出サービス」に限定しました。前者はWebに公開され，誰でも閲覧可能ですが，後者は基本的に公共図書館の利用対象者（居住者や通勤通学者）へのサービスです。

• wBook強し！（Wbook表記もあり）
• ”奈良県生駒市立図書館と北海道岩見沢市立図書館は電子書籍サービスを開始したものの、対応するベンダーの撤収に伴いサービスを終了した。外部サーバに保存されていた購入資料は一部を除き図書館に残っていない”（森山光良. 動向レビュー：日本の公共図書館の電子書籍サービス-日米比較を通した検証-. カレントアウェアネス. 2012, No. 312, p.22-28. CA1773）
• 電子書籍リーダーの館外貸出が確認できたのは，武雄市（iPad）と萩市（iPadとアンドロイドタブレット）のみ。
• 有料サービスの例は見当たらず。
• 2012年9月11日，電子書籍図書館推進協議会発足。
• 2013年5月1日，栃木県高根沢町電子図書館サービス開始。

おまけ

資料を電子化して公開している例です。こちらは誰でも閲覧可能です。

OECDの電子書籍の政策課題に関する報告書において，日本の電子書籍動向は米国や欧州と大きく違っており，1990年代初頭にソニーのリーダーが発売されたものの，持ち歩きに不便でコンテンツがなかったことから市場が数年で枯渇したこと，しかしこの十年で携帯，スマートフォン，3Gが普及し，携帯小説（keitai shosetsu）やマンガ（Manga）がブームとなりコンテンツが増えたことなどが述べられています。（E-books: Developments and Policy Considerations. OECD Digital Economy Papers. 2012, No. 208, p. 18）

日本版Kindleも発売されたことですし，来年は電子書籍の普及と図書館での貸出サービスが進むでしょうか。楽しみです！

追記 [2012/12/26]

コメントで，素晴らしいエントリを教えていただきました。

id:kitoneさんの「国内の公共図書館における電子書籍サービスの動向（プレゼン資料）」です。より詳細に，専門的に，分かりやすくまとめられています。

岡本様，ありがとうございました！